「統計力診断」お疲れさまでした!
全10問の答えと、その理由をひとつずつ解説します。
定価1000円の服が50%引きの表示価格で売られていて、さらに表示価格の50%引きになるクーポンを使う。支払いはいくら?
答え:② 1〜300円(250円)まず定価1000円の50%引きなので、表示価格は500円になりますね。そこからさらに「表示価格の50%引き」なので、500円の半分、つまり250円が正解です。「50%+50%で無料になるのでは?」と感じた方もいるかもしれませんが、2回目の割引は元の値段からではなく、1回目の割引後の値段から引かれるんです。ちょっとしたひっかけですが、大事な考え方が詰まっている問題です。
覚えておこう:「○%引きからさらに○%引き」は足し算ではなく、順番にかけ算していく。
40人のクラスで、あるテストの平均点は50点。50点以上を取った生徒は何人?
答え:④ これだけではわからない平均点が50点だからといって、「半分の人が50点以上」とは限らないんです。たとえば40人中25人が20点、残り15人が全員100点でも、平均はちょうど50点になります。極端な点数の人が少しいるだけで、平均はけっこう簡単にズレてしまうのが、この問題のポイントです。
覚えておこう:「平均」は全体の目安にはなるけれど、「半分の人がそれ以上」を意味しない。極端な点数が1人でもいると、平均は簡単にズレる。
図書室の貸出数(先月20冊・今月22冊)のグラフで、今月の棒が3倍ほど高く見えるのはなぜ?
答え:① たて軸が0からではなく、19から始まっているから本当はたった2冊の差だったんですが、グラフのたて軸が0からではなく19から始まっていたせいで、その差が画面いっぱいに引き伸ばされて見えてしまっていました。グラフを見るときは、まずたて軸が0からかどうか、ちらっと確認する癖をつけておくと安心です。
覚えておこう:グラフを見るときは、まず「たて軸が0から始まっているか」を確認する。0から始まっていないグラフは、差を大げさに見せている可能性がある。
「売上が去年の2倍」を、たて・よこ両方を2倍にしたコインの絵で表した。見た人は何倍に感じやすい?
答え:③ 4倍くらい絵の大きさは、たてとよこをかけ算した「面積」で決まります。たてもよこも2倍にすると、面積は2×2で4倍になってしまうんですね。実際の売上は2倍なのに、見た目は4倍の迫力になってしまうので、つい大きく成長したように感じてしまいます。
覚えておこう:数字を絵の大きさで表すときは、絵の面積(大きさ)そのものを、伝えたい倍率ぶんだけ変えるのが正しい。今回なら面積を2倍にすればよかった。たてもよこも2倍にすると、面積は4倍にふくらんでしまう。
「コーヒーをよく飲む人ほど肺がんになりやすい」という調査結果から言えることは?
答え:④ これだけでは、コーヒーが肺がんの原因かどうかはわからないこの調査が行われた当時、コーヒーをよく飲む人にはタバコを吸う人がとても多かったそうです。もしかすると本当の原因はタバコで、コーヒーはたまたま「タバコを吸う人によく見られる目印」だっただけかもしれません。こんなふうに、2つのことの裏にもう1つ隠れた原因があることを「交絡因子」と呼びます。少し難しい言葉ですが、覚えておくと便利です。
覚えておこう:「AとBが同時に起きやすい」だけでは、「Aが原因でBが起きる」とは言い切れない。裏に共通の原因が隠れていることがある。
表も裏も同じ確率で出るコインで、5回続けて表が出た。6回目に出やすいのは?
答え:③ 表も裏も同じ5回続けて表が出たという事実は、6回目の出やすさには何の影響もなく、6回目も表50%・裏50%のままなんです。「そろそろ裏が出るはず」と感じるのはとても自然なことなんですが、これは「ギャンブラーの誤謬」と呼ばれる、有名な思い込みなんですよ。
覚えておこう:1回1回が独立している(前の結果に関係ない)ものには、「そろそろ○○のはず」という考え方は通用しない。
40人のクラスに、誕生日がまったく同じ2人組がいる確率は、およそどれくらい?
答え:④ 約90%(正確には約89%)ポイントは、「自分と同じ誕生日の人がいるか」ではなく「クラスの中の誰かと誰かが同じ誕生日か」を考えることです。40人いると、2人の組み合わせは約780通りにもなります。1組だけを見れば同じ誕生日になる確率はとても低いのですが、780通りのどれか1つでも当たればいいので、全体で見ると意外と高い確率になるんです。
覚えておこう:「1組だけの確率」と「たくさんの組み合わせの中でどれか1つでも当たる確率」はまったく別物。組み合わせの数が多いと、まれなことでも起こりやすくなる。
大きい病院(1日約100人生まれる)と小さい病院(1日約10人)、「6割以上が男の子」の日が多いのはどっち?
答え:② 小さい病院コインを10回投げるのと100回投げるのを比べると、10回だとたまたま6回以上表が出てもそれほど珍しくありませんが、100回投げて60回以上表が出るのはかなり珍しいことです。調べる数が少ないほど、結果は偶然によって大きくブレやすくなる——赤ちゃんの男女の割合も同じ理屈なんですね。少し発想の飛躍がいる問題でした。
覚えておこう:データの数が少ないと、結果は偶然によって大きくブレる。数が多いほど、本来の確率(この場合は男女半々)に近づいていく。
1%で当たりが出るくじ(毎回もとに戻す)を100回引くとき、少なくとも1回当たる確率は?
答え:③ 約60%(正確には約63%)「1%×100回で100%」と考えてしまうかもしれませんが、正しくは、まず「100回とも当たらない確率」から考えるんです。1回外れる確率は99%なので、99%×99%×…と100回連続で外れる確率は約37%。残りの100%−37%=約63%が、「少なくとも1回は当たる確率」となります。
覚えておこう:「毎回○%」の確率を何度もくり返すときは、足し算ではなく「外れる確率」をかけ算していくのが正しい計算方法。
りんごが好きな人の割合を調べたい。人口10万人の街と、人口1億人の国。同じ精度で知りたいとき、必要な人数はどれくらいちがう?
答え:④ 1〜2人「人口が1000倍違うんだから、聞く人数も1000倍くらい必要になりそう」と感じますよね。でも実際に計算すると、10万人の街では約383人、1億人の国では約385人で、同じくらいの精度で予測できてしまうんです。差はたったの2人。もし直感で当てられたのなら、かなりセンスがありますね。
なぜここまで変わらないのか、母集団の大きさを変えて実際に計算した表を見てみましょう(同じ精度=95%の確率で誤差5%以内、で計算)。
| 母集団の大きさ | 必要な人数 |
|---|---|
| 1,000人 | 約278人 |
| 1万人 | 約370人 |
| 10万人 | 約383人 |
| 100万人 | 約385人 |
| 1億人(日本の人口くらい) | 約385人 |
母集団が1,000人→1万人→10万人と増えるうちは、必要な人数も278人→370人→383人と、まだ結構増えています。ところが10万人を超えたあたりから、100万人になっても1億人になっても、必要な人数は383人→385人→385人と、ほとんど動かなくなります。
母集団が、必要な人数と比べてすでに十分大きくなると、そこから先はいくら人口が増えても、必要な人数はほとんど増えなくなるのです。視聴率調査が、日本全体を対象にしていても数千人程度の調査で済んでいるのは、このためです。
覚えておこう:上の表のように、母集団はある程度大きくなると、約385人という数字に近づき、それ以上はほとんど大きくなりません。詳しく知りたい人は、「Cochranの標本サイズ公式」を調べてみてください!
全10問、お疲れさまでした。
こういう「数字の見方」も、とうけい道場のカリキュラムで少しずつ扱っています。気になることがあれば、そのままLINEでお気軽にご質問ください。